ラリーズ

私がマンドリンと出会ったのは、西荻窪にあるガラクタやさん.
弦がビヨンビヨンに切れちゃって、
青さびがぴしぴしと染み付いていて、
とてもひどい身なりをしていたのだけど、
私の目には、宝物に見えた.
おじさん!これ、ギターですか?
「そうだよ.半額でいいよ.」
わーい!ください!
ギターだと云ってたのになあ、マンドリンだったんだ.

新しく手に入ったギター、それを手に、東高円寺にあったシンバラインへ.
その日は、高橋ヨーカイさん(妖怪って自分のことを言ってた)
が、白塗りの舞踏集団の舞踏音楽をレコーディングしていた.

ヨーカイさんが、
「おっ、いい物持ってるねえ、それ弾いてご覧よ」
ほいきた、とポロン

ベースを弾いているヨーカイさんを見て、
最初75歳暗いかと思ってみていてんだが、
ベースをひくヨーカイさんが、だんだんと入り込んでいって、
ぐんぐん深くて太い世界の輪が広がりだした途端!
ヨーカイさんは、35歳くらいになった.若返った.
エネルギーが目の前で、爆発を起こしている!
血管が浮き出ていた手の甲に、どきりとする.

昔、NHKでみた人形劇の、ゴミのオバケとか、
ゲゲゲの鬼太郎に出てくる井戸千人によく似ている.
わたしは、あとから知ったんだけど、
この人は、昔、裸のラリーズというバンドでベースを弾いていた人だそうだ.わたしは、この頃、niprits という人のCDを聴いていた.
この、ニプリッツの人が、ラリーズの人だったというから、
そういう空気に近いところにいた時代だったのだ.
当時、何にも知らないで生きてたし、いまもよくわかんない. 
私の場合、後になって知ることが多すぎる.
でも、何にも知らずに、面白い人と出会うのこそ好きだな